水戸地方裁判所 昭和54年(レ)28号 判決
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【説明】
本件の事実関係は、おおよそ次のとおりである。
控訴人の先代は、昭和二五年三月彼岸頃被控訴人所有地の通行を許諾し、同年中には、その範囲も確定されたが、その後、昭和三五年ころには、被控訴人は、本件土地上に被控訴人所有地から土を運んで盛土をし、約3.2メートル幅の道路の形態を整え、このころ購入した軽三輪車(愛称ミゼツト)で通行し、更に昭和三九年三月ころ、被控訴人宅を新築した際、本件土地上に右建築に使用したコンクリートを使用し、約1.8メートル幅に舗装し、現況のとおりの通路とした。
そして、被控訴人が昭和二五年以来本件土地を通行し始めてから控訴人先代清の妻が昭和四三年一月一七日に死亡するまで、控訴人方その他の者から異議を述べられたこともなく、また、前記のコンクリート舗装の際にも何等の抗議もなく、しかも被控訴人及び控訴人先代清の親類縁者も本件通路を通つて被控訴人方に出入していた。以上認定によれば、控訴人先代清は昭和二五年三月の彼岸の日に被控訴人が将来控訴人所有地上を通行することを承諾し、その後被控訴人が右清の了承のもとに本件土地を確定し、右土地上に被控訴人所有地を承役地とする通行地役権を設定したものと認めるのが相当である。
【判旨】
三ところで、本件土地は前記通行地役権設定当時、畑であつたのであるから、非農地化を目的とする右通行地役権の設定には原則として当時施行されていた農地調整法四条一項、六条一項、若しくはその後施行された農地法五条に定める茨城県知事の許可を要し、右許可がない限り効力を生じないと解されるところ、前記一のとおり、被控訴人は右の許可を得ていないので、右の通行地役権の設定につき右知事の許可を要しない事情が生じたか否かについて検討する。
<証拠>によれば、本件道路の道幅は約一間であるうえ、被控訴人所有地は本件道路から約一メートルの段差をもつて高くなつており自動車の通行はもちろんその他の通行にも不便なことが認められ、また前記二、1、3の事情のもとに、前記二、5のとおり被控訴人所有地から本件道路に出入する目的で、控訴人先代清が被控訴人のために昭和二五年に通行地役権を設定し、被控訴人は同年から本件土地を通行し、昭和三九年にはコンクリート舗装をして農地に容易に回復し得ない現況道路としたものであつて、以上のような事情が認められる本件においてはたとえ被控訴人自らが本件土地を非農地化した場合であつても、遅くとも昭和三九年の右舗装をした時点で現況非農地として前記地役権の設定につき茨城県知事の前記許可を得る必要がなくなつたものと解される。
そうすると、本件通行地役権の設定は遅くとも昭和三九年三月ころには効力を生じたものと認めるのが相当である。
(早井博昭 有満俊昭 平賀俊明)